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評価:
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今時点で『the social network』は
Golden Globe Awards4冠.オスカーもいくつか獲ると思われる.ビジネスが生まれ、成功の一歩を踏み出すところまでのお話…ローカルな話である.しかし、David Fincherのdirectingでドラマティックに演出されている.
"the social network"
私自身がコンピュータエンジニアだったりentrepreneurshipに関心が高いことも影響していると思うが、食い入るように観た.英語版は3回ほど見直してしまった.
主人公の企業家はいわゆるgeekである.彼がつくりだしたシステムは、実在する
巨大なネットワークであり、
ビジネスとして成功しようとしている.映画の中では、主人公は、自分の目的を優先させてアクションを起こすひととして表現されている.彼の動機はとても個人的なもの.
行動経済学で実証されたように、ひとは一見、合理的ではない部分を持っていたりするもの.後悔しようがなにしようが、それを動機として行動を起こすのである.
さて、動機に駆られて主人公のgeekが作り上げたシステムはシンプルなコンセプトでスタートしている.ともだちが何しているのかわかる仕組みがほしいな、と.しかし、すでにそのようなサイトは存在していた.MySpace、FriendSter等.なぜ、彼のシステムが魅力を帯びたのか.
そのひとつが主人公が作り上げたシステムをとりまく消費経験である.消費とは、一般的には購買することや、消耗することとして利用する.消費者行動論では、購買や消耗だけでなく、商品やサービスがかかわるすべての経験を言う.実際に使っていなくても、思いだしたりすることで消費しているのである.
この映画でフォーカスされているシステムは、ユーザの消費経験に長く影響力を持っている.「ともだちはいまどうしているんだろう」「自分がいましていることを知ってほしい」.その感情や思考が、そのシステムを使っているときだけでなく、使っていない時も心と頭をつかんでいる.消費は金額ではなく、時間に作用されているのである.
製品としての優秀さ、よりも、ユーザ自身の時間に対するかかわり方が、価値を高めたのである.これこそが、顧客価値である.価値は、製品にあるのではなく、使用されながら蓄積されていく記憶や期待が作りだす文脈に依存する.
無料だから、便利だから、必要だから、使われる.
それはもっともわかりやすい理由.
さらにロイヤルティを高めるものは、楽しい、その感情そのもの.
感情は消費経験を通じてその対象に愛情を創り出す.
消費経験から生まれる顧客価値のうち、特定の製品やサービスに関係する経験価値が私の研究テーマである.顧客価値自体は消費経験から生まれる.しかし、それは個人的で標本から抜き出せる全般的なものではない.だから、分析的にアプローチするために状況を特定の製品やサービスに固定して測定する.そういう経験価値に着目する.
これから調査開始である.
蛇足ですが…ショーン・パーカーを演じているJustin Timberlakeは
お茶目でしかも歌もうまい.Beyonceとデュエットしてもまったく引けを取らない.