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評価:
森巣 博
集英社
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(2002-10-18)
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心のノート批判で名が広まった(のかな)森巣博が、『無境界家族』のなかで、「世界中で私立に国がカネを出すのは日本だけ.ほかの国は、基本的に国立があればよくて、私立は少数派」といったような話をしていた.その話を拡大解釈して、「有名な大学はほとんど国立」と思い込んでいた.
私の友人のひとりに、現在、Harvardで学生をしているヤツがいる.彼が18歳のとき(そのときはまだ日本の高校生…だったっけ.もしかしたら卒業してた?)、私が38歳のときに出会って(ちがってたらゴメン!)、ちょっとしたビジネスをした仲である.
夏休み、冬休みの時期に日本に帰国しているので、情報交換の会食をしている.ここのところは、ほとんど年一回くらい.学生生活は、文字通り、大学のキャンパス内にいる時間が多いとのことで、勉学一色の生活を送っている.とはいえ、やはり、多国籍な優秀な人材を集めることを戦術としているだけあって、Harvardの生活の話は刺激がある.
さて、昨日もそんな会食で、友人の華麗な武勇伝を聞かせてもらって笑いつつ、お互いの更なる発展を誓い合ったりした.その会話の中で、初めて知ったのが、実はHarvardが、Harvardさんが創った私立大学だという事実.マジで!?.知らなかった…
その思い込みは、冒頭の小説の語りからきていた.日本の慶応大学や早稲田大学と同じく、ひとりの創立者が発端となる学校なのだった.同じように、Stanfordもそう.大抵、地名がついている大学は公立なのだそう.日本も同じである.例外はMIT.
調べてはいないが、もしかしたら、日本と違って国からの資金はないかもしれない.Harvardは卒業生などからの収入が多いときく.国に頼らなくてもよいだろう.感心したのは、HarvardやStanfordなど上位の私立大学は、入学者の選抜において、国を問わず成績が優秀なひとを、収入などのバックグランドを加味せずに一旦選抜すること.そのうえで、親の収入の証明所をもとに、資金が足りなければ返済する必要の無い(ここ、間違ってない?)奨学金を出す.
私学ゆえの戦略なのだろうか.優秀なひとをあつめることが生き残る道.ともかく、成果は出ているし、東大や京大とことなり、世界的なブランドになっている.友人は日本では京大に合格していたし、一旦は入学したが、同時にharvardにも合格していたので、そちらを選んだ.日本人的な仲間意識が強いことを本人は自覚していて、それゆえに、その対極のマインドがある場所に身を置いたことは正解だったと、みずから分析している.すばらしい前向きな思考だ.そのうち、大金稼ぐようになったらうまいメシを食わせてもらおうと密かに(いや、そんな冗談ばかり本人に対して言っている)思ったりしている.